本音美容辞書【総院長ブログ】｜東京皮膚科・形成外科

81歳の父親、池田壽雄が亡くなり、昨日お葬式を行ないました。

関係者の皆様、本当にありがとう御座いました。

 

お花の数はホールの歴代の最高記録の5倍を越したそう。

お花屋さんがパンクして途中からお花の受け付けもストップしてしまったそうで、

お花を受けつけれなかった皆様、本当に大変失礼いたしました。

 

 

父はとても頭が良く、統計学が得意で、

年齢や臨床症状を入れていくだけで

誰でも簡単に脳卒中の診断ができる

池田式脳血管障害鑑別表を作りました。

 

CTが無かった時代に脳卒中を診断するのはとても難しく、

たくさんの経験がある、名医の診断を必要としていました。

脳卒中の名医を1人1人回ってその経験と診断方法を教えてもらい、

その診断基準を当時、東京大学にしかなかったコンピューターに入れて、

表に書き込むだけでどんな医師でも簡単に名医と同じ精度の

診断ができるようにしたのです。

 

ただ、最初に脳卒中の診断方法を教えてくれたのは多数の名医。

「そのような名医を世の中はもっと大切にしないといけない」と

いつも父は言っていました。

父はコンピューターを利用しただけで、

コンピューターが大切なわけではないのです。

 

「医師は自分が研究していた疾患で死ぬというジンクスがあるが、

その理由は天才医師はその時代に治療が難しい疾患の研究をするからだ」

という友人の鈴木先生の弔辞の言葉は心に響きました。

 

 

僕自身は父と違って、形成外科医です。

やはり天才で尊敬していた、故田嶋定夫先生の下で働いていました。

田嶋先生も難しい手術を頼まれて、日本中を飛びまわっていました。

 

「俺は死ぬ、俺の技術を世界に広めてくれ、そうすれば俺は死なない」

田嶋先生との最後のお別れの時にそう言われて、

良い手術を広める努力を20年間続けているのですが、

色々な先生に教えていくうちに、

誰もが真似出来ない、天才技の手術を教えても

誰も真似しないことに気付きました。

 

悔しいけど、

悔しいけど、

天才の才能を必要としない、

誰もが簡単に出来る手術を開発して教えないと

世の中に広まらない。

 

腫れの少ない二重まぶた手術を見学に来た、若い先生に

「普通の方法ですね」

と言われたことがあります。

 

昔は二重まぶた手術はとっても腫れていた。

だけども腫れないのが普通と言われるくらいに

その技がコピーされまくって世界中に広まっていった。

すなわち田嶋教授の手術方法が広まったのだ、

と喜ぶことにしています。

「模倣は最大の称賛なり」。

 

そういう先生に腫れの少ない鼻の手術を見てもらうと

「腫れない」とびっくりされます。

腫れない目の技術を鼻の手術に応用しただけなのですが、

見学に来る先生には、その違いはわからないのでしょう。

 

やはり新しい手術を開発するためには、

たくさんの名医から学んで身につく、多数の経験を必要とするのです。

そういう訳で僕は今後も名医を集めて情報交換をしようと思います。

 

 

最後に父、池田壽雄の人生を振り帰りたいと思います。

70歳まで、趣味のギターが上手に弾けていた時までは

父は趣味も多く、人生を楽しんでいた気がします。

 

70歳を越えると手が細かく動かなくなってギターやピアノが上手く弾けなくなり、

歩きにくくなって花を育てたり、ゴルフに行ったりが出来なくなり、

そして最後の1年は自由に身体が動けなくもなりました。

 

70歳から80歳の父の人生も楽しそうにしていましたが、

本当に心から楽しかったのであろうか？

「身体が自由に動けて羨ましい」

と子供を見て思っていたのではないだろうか？

 

僕は欲深い人間です。

いつまでも楽しく暮らしたい。

 

70歳を超えても、アンチエイジング医学で

若い時と同じく頭が良く、若い時と同じく手先が器用。

 

ただ歩けるだけが幸せなのではなく、

老後の趣味を楽しむためにはたくさんの能力も必要なんだよ、

と趣味達者な父に、人生を通じて教わった気がしています。

 

今後は脳のアンチエイジング医療も追求したいと思います。

 

言うのは簡単だけど実行するのはとても大変。

アインシュタインにもできなかったことが果たして

我々にできるのか？

 

ただ、今うちで働いてくれている優秀な医師達とスタッフ達がいれば

もう少し時代が進む20年後には実行している気もします。

 

というわけで。

お父さん、長い間育てて頂き、

ありがとうございました。

父親が遺した詩、喪主の挨拶で詠んだ詩をアップします。

 

あなたの残した波紋が消えないように、

僕は一流の先生達と一緒に、

小石を池に投げ込み続けます（笑）。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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